本田書店・太陽書店はなぜ消えた?全国21,000店→数十店の激減理由と業界変化を徹底解説
国道沿いにポツリと光る、少し色褪せた看板。ガラス扉の向こうは薄暗く、中の様子はほとんど見えない。意を決してドアノブに手をかけるまでの、あの数分間の逡巡を覚えているだろうか。かつて日本中の街に存在した「本田書店」や「太陽書店」などの成人向け書店。それは単なる本屋ではなく、多くの青年たちにとって未知の世界への扉だった。
しかし驚くべき事実がある。ピーク時には全国に21,000店舗以上も存在したこれらの店舗が、現在ではわずか数十店舗まで激減してしまったのだ。この記事では、単なるノスタルジーに浸るだけでなく、具体的な数字と時代背景を紐解きながら、一つの文化が生まれ、そして消えていった理由に迫る。
あの頃を知ってる?成人向け書店の黄金時代
ピーク時は全国21,000店舗の巨大市場
1980年代から1990年代にかけて、成人向け書店は日本全国で21,000店舗以上を展開する巨大産業だった。これは現在のコンビニ店舗数(約55,000店)の約4割にあたる驚異的な数字だ。当時、映画やアニメのビデオソフトは1本15,000円以上もする高級品で、「レンタル」という業態が急成長を遂げた背景がある。
VHS時代の高額レンタル(新作2,000円超)
当時のレンタル料金は現代から見ると驚くほど高額だった:
- 新作:2,000円〜3,000円(1泊2日)
- 準新作:1,500円〜2,000円(1泊2日)
- 旧作:800円〜1,200円(1泊2日)
- 延滞料金:1日あたり500円〜1,000円
それでも多くの人が高い料金を支払っていたのは、ソフト購入の敷居の高さと、他では得られない「体験」への対価だったのだ。

独特の店舗文化と暗黙のルール
成人向け書店には、利用者なら誰もが体験した「暗黙のルール」が存在していた:
- 店員とは絶対に目を合わせない:彼らもプロとして客の羞恥心に配慮
- 他の客とすれ違う時は棚を見る:互いの存在を認識しないことがマナー
- 入店前に周囲を確認:知り合いに会わないよう細心の注意
- 速やかに目的を達成して退店:長時間の滞在は避ける傾向
激変する業界 – デジタルの黒船「FANZA」の衝撃
業界を根底から覆したデジタル革命
2000年代に入り、DMM(現FANZA)を筆頭とする動画配信サービスが登場すると、状況は一変した。2024年現在、FANZAは45百万人の登録ユーザーを抱え、日本最大のアダルト配信プラットフォームとなっている。
2020年が転換点となった。この年、デジタルコンテンツ販売が65.3%増の397.3億円に急成長する一方、物理メディア販売は5.9%減の186億円、レンタル市場は17.3%減の104.1億円まで縮小。史上初めて、デジタルが物理+レンタル市場の合計を上回った。
店舗数83%減少の衝撃データ
デジタル化の波は、物理店舗に壊滅的な打撃を与えた:
- ピーク時(1990年代):全国約21,000店舗
- 2010年:約8,000店舗(62%減)
- 2020年:約2,000店舗(90%減)
- 2024年現在:推定数十店舗(99%以上減)

消費者行動の完全な変化
デジタルプラットフォームが提供した価値は、実店舗が抱えていたあらゆる不便さを解消するものだった:
- 24時間いつでもアクセス可能:営業時間の制約なし
- 完璧な匿名性:誰にも会わず、バレるリスクゼロ
- 圧倒的な品揃え:物理的制約のない無限の在庫
- 月額540円〜の定額制:従来の1作品分で見放題
- 返却・延滞の概念がない:ストレスフリーな体験
とどめを刺した2022年「AV新法」の衝撃
業界を混乱に陥れた急速な法制化
既に窮地に立たされていた業界に、決定的な打撃を与えたのが2022年6月施行の「AV出演被害防止・救済法」だった。この法律は、成人年齢を18歳に引き下げた直後のわずか1.5ヶ月という異例の速さで成立し、業界全体を大混乱に陥れた。
新法が課した厳格な規制:
- 契約から撮影まで1ヶ月間の強制待機期間
- 撮影から発売まで4ヶ月間の義務化
- 出演者による発売後1年間の無制限解約権
- 詳細な書面による説明義務と同意確認
- 違反時の刑事罰:最大懲役3年または罰金300万円
著名AV女優の奏音かのんさんは「2022年7月の撮影が全てキャンセルになった」と証言。また、2023年に活動できた女優の年収はわずか40万円(従来の90%減)という調査結果も報告されている。
コンテンツ不足が店舗経営を直撃
この規制強化により、多くの制作会社が事業縮小・撤退を余儀なくされ、新作コンテンツが激減。レンタル店の生命線である「定期的な新作入荷」が困難となり、残存していた店舗も相次いで閉店に追い込まれた。
生き残りをかけた現存店舗の進化戦略

VR・最新技術で差別化する店舗たち
現在も営業を続ける店舗は、デジタル配信では得られない「体験価値」の創出に注力している:
- VRコンテンツ体験コーナー:専用機材による没入型体験
- 4K・8K高画質作品の先行販売:配信では味わえない最高画質
- 限定グッズ・直筆サイン入り商品:コレクター需要への対応
- イベント・撮影会の開催:ファンとの直接交流機会
VR市場は急成長しており、日本のVRゲーム市場は2024年に前年比45%増を記録。成人向けVRコンテンツも、物理店舗ならではの高品質体験として注目されている。
アダルトグッズ特化で新市場開拓
多くの店舗が「映像レンタル」から「アダルトグッズ販売」への業態転換を図っている。この分野は:
- 実物確認の重要性:サイズ・素材・機能を直接確認できる優位性
- 専門スタッフによる相談対応:商品選択のサポート
- プライベートブランド商品:独自性の確保
- 定期的なリピート購入:安定的な収益基盤
地域密着・ニッチ需要の掘り起こし
生き残っている店舗の多くは、大手配信サービスでは対応できない「ニッチな需要」に特化している:
- マニア向け希少作品の取り扱い:配信されていない廃盤作品
- 地域密着イベント:地元ファンとのコミュニティ形成
- 高齢者層へのサービス:デジタル機器に不慣れな顧客への対応
- 宅配・出張サービス:来店困難な顧客へのリーチ
現代のAV視聴環境とオキニリスト活用術
デジタル時代の作品選択は、従来の「ジャケ買い」から「データドリブンな選択」へと進化している。「オキニリスト!」のようなアプリは、26万作品という膨大なデータベースから、ユーザーの好みに合致する作品を効率的に発見できるツールとして注目されている。
これらのツールが提供する価値:
- 詳細検索機能:20項目の絞り込みで理想の作品を発見
- 視聴履歴管理:見た作品・見たい作品の整理
- 評価・レビュー機能:失敗のない作品選択
- 新作通知:好みの女優・ジャンルの最新情報をキャッチ

まとめ:一つの時代の終わりと新たな可能性
「本田書店」「太陽書店」をはじめとする成人向け書店の栄枯盛衰は、単なる一業界の変遷ではない。それはテクノロジーの進化、消費者行動の変化、そして社会の価値観の移り変わりを象徴する、現代史の重要な一章なのだ。
全国21,000店舗から数十店舗への激減は確かに一つの時代の終わりを意味する。しかし、VR技術の活用、アダルトグッズ市場の成長、そしてデジタルツールによる新たな作品発見体験など、新しい形での価値創造も始まっている。
あの薄暗い店内で感じた緊張感や高揚感は、もう体験できないかもしれない。だが、その記憶を胸に、現代のツールを使ってより効率的で満足度の高い作品選択を楽しむことができる時代になったのも事実だ。
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